・これまで富士通が販売してきたパソコンとは一味違う機種です
・富士通製PCの良い点を全力で活かせるモデルです
Windows 11の正式リリースに合わせて発表された富士通製ノートPC、FMV zero。これまで販売してきたノートPCとは一味違う「誰を対象に売るのか」が明確に定まっているモデルとなっており、非常に面白いモデルとなっています。
今回はそんなFMV zeroについて解説します。
全てにおいて誰を対象にしているのかがしっかりと分かっているモデル
ベースモデルはLIFEBOOK UHシリーズ
FMV zeroのベースモデルは同社が販売するモバイルノートPCのLIFEBOOK UHシリーズです。
ですが、FMV zeroはLIFEBOOKとは別のブランドであり、FMV zeroの正式名称は「WU4/F3」となっています。
そんなベースモデルLIFEBOOK UHシリーズは、13.3型のノートPCでは超軽量の865gの本体に、第11世代Intel製CPU、最大2TBまで増設可能のSSD、最大32GBまで搭載可能なRAMといった十分過ぎる性能を兼ね備えた機種になっています。
また、富士通が誇る快適なキーボードに、最新規格Thunderbolt4に対応したUSB Type-Cポート、USB 3.2 Gen1対応USB Type-Aポートをそれぞれ2つ、HDMI端子、フルサイズのSDカードが挿せるカードスロットを完備するなど文句のない利便性も持ち合わせています。
そんなモバイルノートPCであるLIFEBOOK UHシリーズをベースにし、カスタマイズを施し、ブランド名を付与したのがFMV zeroです。
ベースモデルとの違い
ベースモデルと決定的に違う点は3つあります。
それは「販売方法」「本体色」「プリインストールソフトの数」です。
販売は富士通WEB MART限定
FMV zeroの販売は自社のECサイト「富士通WEB MART」限定で行われます。
ベースモデルのUHシリーズはカスタマイズモデルと量販店向けのカタログモデルが存在しており、家電量販店でも購入することが出来ます。
しかし、FMV zeroは富士通WEB MARTのみで販売され、家電量販店向けのカタログモデルは存在しません。
つまり、家電量販店のどこを探しても購入することが出来ないのです。
ある程度決まっている部分はありますが、「FMV zeroのスペックはユーザーが決める」「自分にあったPCを手にすることが出来る」という点は非常に良いと思います。
その証拠に、富士通WEB MARTで注文されているスペックの多くはOSにWindows 11 Proであり、ベースのUHシリーズと比べてProを選ぶ割合は高いとのことです。
本体色はブラックのみ
本体色はブラックのみであり、ボディカラーからロゴまで全て黒に統一されています。
また、ロゴの位置も中央から左端によっており、キーボードにもかな文字は振られていません。
「スタバなどのカフェで使いたくなるようなPC」ということをテーマにして開発しているだけに、外出先に持ち歩いて使用していて、カフェなどで使用してもおしゃれに使用できる機種といっても差し支えないデザインになっています。
プリインストールされているソフトは最小限
これは、この機種最大の特徴になるのですが、FMV zeroは本体管理や機能以外に不要な富士通製ソフトウェアはインストールされていません。
これまで富士通製PCにあった、プリインストールアプリの多さが改善されておりその分ストレージに空きがあります。
これまで言われていた「購入後最初にやるべきことはクリーンインストール」ということもなく、購入後直ぐに自分好みにカスタマイズ出来るのが特徴です。
メーカー公言の通り、対象ユーザーは「PC上級者」
ここまで書いてきた特徴から見て分かるように、FMV zeroが狙っているユーザーは「PC上級者」ということが出来ます。
PC上級者とは?
このモデルで想定されている「PC上級者」とは、どんなソフトを使用するかが決まっており、自分の力でカスタマイズしていける人のことを指していると考えます。
また、仕事でPCをバリバリ使用するような人も含まれることでしょう。
そういった人は、本体の設定アプリといった必要最低限のもの以外は求めていないと推測でき、筆者も含め「余計なプリインストールソフトは邪魔でしかない」と考えることが出来ます。
Web限定ということから、自分の用途にあった機種を選べる人も含まれますが、どちらかといえばソフトウェアの要素が強いです。
その理由として、FMV zeroはハードウェアの面ではあとからチューニングできる部分が殆どなく、後から改造出来る点といえばSSDくらいしかありません。
ですので、ハードウェア方面の上級者にとっては味気ないと感じるでしょうし、逆にソフトウェア方面の上級者にとっては喜ばしい部分であるといえるでしょう。
ライバルはVAIO SX14 ALL BLACK EDITION?
そして、私がこのモデルを見て思ったのはVAIOのALL BLACK EDITIONに似ているということです。
というのも、VAIOはどのモデルにおいてもプリインストールソフトは必要最低限に抑えられているのが特徴で、尚且、名前にあるように全身ブラックである点も共通しています。
VAIO SX14は最近モデルチェンジが行われ、性能的にも横並び。狙っているユーザーは「PC上級者」であり同じだといえるでしょう。
同じLenovo傘下のNECにも同様の動きに期待したい
ハードウェア的には完成度が高いものの、本体のデザインや余計なソフトの多さから敬遠されがちだった富士通製PC。
FMV zeroはそんな弱点を一気に払拭し、敬遠していたユーザーを獲得しに来たモデルだといえます。
この機種の売り上げ次第では「上級者向けモデル」というカテゴリーが増えていくはずですし、事実、現在の富士通WEB MART全体の売上の3割をFMV zeroが占めているとのことです。
そして、ある程度売れていることから、同じLenovo傘下のNECも同じ動きをしてほしいと感じています。
NECもミニマムソフトウェアパックといってWebで購入した際に選択することが出来るが、中身を見ると正直言ってまだ多い上にあくまでも一般向けといった感じは抜けません。
是非、FMV zero並にソフトを絞った選択を増やして同じようなものを展開して欲しいところです。
コメント