2021年に発表され、今では富士通製ノートPCの売れ筋商品まで上り詰めたFMV zero。
これまで販売してきたノートPCとは一味違う「誰を対象に売るのか」が明確に定まっているモデルとなっており、非常に面白いモデルとなっています。
今回はそんなFMV zeroについて解説します。
全てにおいて誰を対象にしているのかがしっかりと分かっているモデル
ベースモデルはLIFEBOOK UHシリーズ
FMV zeroのベースモデルは同社が販売するモバイルノートPCのLIFEBOOK UHシリーズです。
ですが、FMV zeroはLIFEBOOKとは別のブランドであり、FMV zeroの正式名称は「WU5/J3」「WU4/J3」となっています。
そんなベースモデルLIFEBOOK UHシリーズの特徴は以下の通りです。
- 14.0型のノートPCでは超軽量の865gの本体
- Intel CoreUltra シリーズ1搭載
- 最大2TBまで増設可能のSSD、最大32GBまで搭載可能なRAM
このように、モバイルノートPCとしては十分過ぎる性能を兼ね備えた機種です。
また、富士通が誇る快適なキーボードに、USB Type-Cポートを初めとした豊富なインターフェイスを搭載。
USB 3.2 Gen1、Gen2に対応USB Type-Aポートがそれぞれ1つずつ、HDMI端子、micro SDカードスロットを完備するなど利便性も抜群です。
そんなモバイルノートPCであるLIFEBOOK UHシリーズをベースにし、カスタマイズを施し、ブランド名を付与したのがFMV zeroです。
ベースモデルとの違い
ベースモデルと決定的に違う点は4つあります。
- 販売方法
- 本体色
- プリインストールソフトの数
- 本体重量
販売は富士通WEB MART限定
FMV zeroの販売は自社のECサイト「富士通WEB MART」限定で行われます。
ベースモデルのUHシリーズはカスタマイズモデルと量販店向けのカタログモデルが存在しており、家電量販店でも購入することが出来ます。
しかし、FMV zeroは富士通WEB MARTのみで販売され、家電量販店向けのカタログモデルは存在しません。
つまり、家電量販店のどこを探しても購入することが出来ないのです。
ある程度決まっている部分はありますが、「FMV zeroのスペックはユーザーが決める」「自分にあったPCを手にすることが出来る」という点は非常に良いと思います。
その証拠に、富士通WEB MARTで注文されているスペックの多くはOSにWindows 11 Proであり、ベースのUHシリーズと比べてProを選ぶ割合は高いとのことです。
本体色はブラックのみ
本体色はブラックのみであり、ボディカラーからロゴまで全て黒に統一されています。
また、ロゴの位置も中央から左端によっており、キーボードにもかな文字は振られていません。
「スタバなどのカフェで使いたくなるようなPC」をテーマにして開発しているだけにデザイン性は抜群。
おしゃれなカフェからオフィスまで、あなたのパートナーとしてカッコよく使用することができます。
プリインストールされているソフトは最小限
FMV zero最大の特徴は、プリインストールされているソフトウェアの少なさです。
本体管理や機能以外に不要な富士通製ソフトウェアはインストールされていません。
これまで富士通製PCにあった、プリインストールアプリの多さが改善されておりその分ストレージに空きがあります。
これまで言われていた「購入後最初にやるべきことはクリーンインストール」ということもなく、購入後直ぐに自分好みにカスタマイズ出来るのが特徴です。
パーツまでこだわり、実現した本体重量
2024年10月に発表されたFMV Zeroでは、14.0インチノートパソコンでは世界最軽量の約634gを実現。
本体にカーボンを使用するだけでなく、液晶パネルやバッテリー、ヒートパイプといったパーツの軽量化がなされています。
これは2021年に発売された13.3型のLIFEBOOK UHシリーズと同等の重さであり、インチアップと本体性能の進化させながら重量を維持していることになります。
一般的なノートPCは排熱などの都合上、本体性能が向上に合わせて重量も増加するためかなり異常です。
注意点として、2024年10月発売のFMV Zeroでは、本体の軽量化に力を入れた「ウルトラライトモデル(WU5/J3)」と性能に重きをおいた「ハイパフォーマンスモデル(WU4/J3)」の2モデルが存在。
ここで触れている約634gの重量を実現しているのは「ウルトラライトモデル(WU5/J3)」となります。
メーカー公言の通り、対象ユーザーは「PC上級者」
ここまで書いてきた特徴から見て分かるように、FMV zeroが狙っているユーザーは「PC上級者」ということが出来ます。
PC上級者とは?
このモデルで想定されている「PC上級者」とは、以下のような人のことを指していると考えます。
- どんなソフトを使用するかが決まっており、自分の力でカスタマイズしていける人
- 仕事でPCをバリバリ使用するような人
そういった人は、本体の設定アプリといった必要最低限のもの以外は求めていないと推測できます。
筆者も「余計なプリインストールソフトは邪魔でしかない」と感じており、使用することがないであろうソフトウェアが入っているのは嫌なのも事実です。
Web限定ということから、自分の用途にあった性能の機種を購入できることも含まれます。
ですが、FMV Zeroの場合は、どちらかといえばソフトウェアの要素が強いと考えます。
その理由として、FMV zeroはハードウェアの面で改造できる部分が殆どないからです。
事実、FMV Zeroで後から改造出来る点といえばSSDくらいしかありません。
ですので、ハードウェア方面の上級者にとっては味気ないと感じるでしょうし、逆にソフトウェア方面の上級者にとっては喜ばしい部分であるといえるでしょう。
ライバルはVAIO SX14 ALL BLACK EDITION?
そして、私がこのモデルを見て思ったのはVAIOのALL BLACK EDITIONに似ているということです。
というのも、VAIOはどのモデルでもプリインストールソフトは必要最低限に抑えられているのが特徴で、名前にあるように全身ブラックである点も共通しています。
VAIO SX14の性能は一世代前ではありますが、通常モデルと比較して性能重視でカスタマイズできる点は共通。
狙っているユーザーは「PC上級者」であり同じだといえるでしょう。
同じLenovo傘下のNECにも同様の動きに期待したい
ハードウェア的には完成度が高いものの、本体のデザインや余計なソフトの多さから敬遠されがちだった富士通製PC。
FMV zeroはそんな弱点を一気に払拭し、敬遠していたユーザーを獲得しに来たモデルだといえます。
初代モデル発売から3年。
スペックアップをしながら継続的に販売されていることから分かるように、狙い通りの効果は出ているのではないでしょうか。
そして、ある程度売れていることから、同じLenovo傘下のNECも同じ動きをしてほしいと感じています。
NECもミニマムソフトウェアパックといってWebで購入した場合のみ選択できるオプションがあります。
しかし、中身を見ると付属してくるソフトウェアの数は多く、あくまでも一般向けといった感じは抜けていません。
是非、FMV zero並にソフトを絞った選択を増やして同じようなものを展開して欲しいところです。
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